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第5回「セブンチタニックしてみませんか!」

第5回「セブンチタニックしてみませんか!」

光触媒の防汚性

光触媒の防汚性


弊社が光触媒酸化チタンを手掛けてから早20年以上が経過しました。これまで多くのお客様からの依頼を受け、建物の内外装への実績を多く残しております

今でも「光触媒とは聞くが、よく分からない」という方も多くおられるので、弊社の実績写真も含めながら解説いたします。
 

有機化合物による空気の汚染

私たちが生活する中で、工場や車から排出される大気汚染という言葉は、工業の発展と共に環境問題意識や排ガス規制の取り組みなどの効果もあり、今ではあまり聞かなくなりました。

しかし、一般的に言われるようなモクモクとした黒い煙が出るような煙突やディーゼル車などは減りましたが、完全に無くなったわけではありません。

最近よく聞くPM2.5の直径は2.5μm(マイクロメートル)。人の髪の毛の直径が約70μm、スギ花粉が約30μmですので、これらの10分の1以下の微粒子です。中国から遠く離れた日本のPM2.5濃度に影響を与えることで知られています。

焼却やガソリン車、ストーブ等から発生しますが、さらに火力発電所や工場などから排出される硫黄酸化物(SOx)や窒素化合物(NOx)、揮発性有機化合物(VOC)が大気中で化学反応を起こし、二次的に生じることもあります

光触媒による有機化合物の分解

酸化チタンは太陽光を触媒とし、光エネルギー中の紫外線(380ナノメートルより短い波長)を吸収して非常に大きな活性酸素(スーパーオキサイドアニオン及び、ヒドロキシラジカル)を発生させます。

その大きな反応エネルギー(表1)が大気汚染の原因となる有機化合物である炭素、水素、窒素(SOx・NOx、悪臭の素)などの結合エネルギーを切断し、水や炭酸ガスなどに分解してくれます。


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酸化チタンのエネルギーが大気汚染や臭いを分解してくれる

室内での消臭・抗菌効果

室内側では、建材や家具から発せられるホルマリン臭気からくるシックハウス、調理後の廃棄食材臭などへは空気清浄や消臭効果があります。

また、食中毒の原因となる大腸菌や黄色ブドウ球菌などの繁殖を抑制し、クリーンな住環境を演出してくれる、より良いパートナーが光触媒である酸化チタン(TiO2)です。

悪臭の成分
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外壁を綺麗に守るセルフクリーニング効果

建物の外壁には油汚れなどの有機物の汚れだけでなく、砂や埃など無機物の汚れも付着しています。

酸化チタンは無機物への効果は有りませんが、空気中の酸素と反応し活性酸素を発生させたとき、ヒドロキシラジカル(水酸基・OH)がついて親水性(写真1および写真2)になっており、水がついても弾かずに濡れ広がります。油分や排ガスなどを分解し、降雨が当たることで砂塵なども一緒に流し、表層を長期間塗り替え時のように綺麗に保ってくれるセルフクリーニング作用があります。

そこで、外壁塗り替え時には耐候性のよいアクリルシリコン樹脂やフッ素樹脂等の仕上げ材をお勧めしています。

屋上笠木、庇、壁より出っ張った窓枠サッシ上場の細い部分、斜壁やアール状になった部分には砂塵が少しずつ積もり易く、窓下角や斜め部分の下側へは垂直面に比べ汚れ筋が残る場合が有りますので、窓下や外壁面に直接雨垂れしないよう水切り処置を依頼しています。


(写真1)細かい玉状に弾いている [撥水]

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(写真2)接触角が小さく濡れ広がっている [超親水]

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汚れの残りやすい部分には
無機汚れを残しにくくするため水切りを設置

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施工用途

建物
内装
壁(クロス面)・天井・カーテン・ブラインド
建物
外装
打ち放しコンクリート・塗装面・タイル面・石材面など各種外壁仕上げの戸建て住宅・ビル・マンション・学校・事務所・病院など

施工方法

一般に、建物内装へは酸化チタンコーティング(セブンチタニックIN)を直接2回施工します。

外壁面では、改修塗装をされるときに使われる仕上げ塗料は有機物ですので、光触媒である酸化チタンを直接コーティングしてしまうと、仕上げ塗料を分解劣化させてしまうことが想定されることから、仕上げ塗料の上を無機化するための縁切りコーティング(セブンチタニックプライマー)処理してから酸化チタンコーティング(セブンチタニック)を共に霧化塗着効率の良い温風スプレーガンやカップガンなど口径の細い塗装機で施工します。

室内側へ

弊社では純水性を選択し塗料メーカーとして各方面への働きかけや販売店への説明会・勉強会を通し、少しずつ販路を広げてまいりました。

はじめは、外壁セルフクリーニング機能に比べ、消臭・抗菌等の室内側環境に力点を置き、光触媒自動噴霧器の紹介など加湿器の様にしてクリーンな環境をご提案いたしました。

健康志向から嫌煙の動きも多く、喫煙室や遊技場などへの喫煙臭除去への期待大でしたが、狭い喫煙室で大量に吸われるため、効果が認められず利用が少なくなりました。

2005年頃から、ハウスメーカーが光触媒酸化チタンのオプション塗装を始めだし、外壁現場の問い合わせや調査が増えてきました。

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セルフクリーニング庇部へのテスト

2000年 庇での防汚テスト開始
光触媒

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2008年 光触媒未施工部の汚れがはっきり出ている
光触媒

外壁面での光触媒施工例(東品川現場)

2004年施工(2006年撮影)
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汚ダレあり(2017年撮影)
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外壁面での光触媒施工例(高輪現場)

2004年撮影
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良好に経過(2011年撮影)
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外壁面での光触媒施工例(保土ヶ谷現場)

2006年撮影
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良好に経過(2017年撮影)
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外壁面での光触媒施工例(立川市現場)

2011年撮影
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良好に経過(2016年撮影)
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外壁面での光触媒施工例(日本橋現場)

2011年撮影
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良好に経過(2019年撮影)
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最後に

上記の実績(東品川)写真でも確認できますように、(写真2)水平な鉄骨支柱の台座部上に堆積する無機物の砂塵などが降雨で少しずつ流れ落ち、経年で少しずつ斜め部や垂直部へ汚ダレとして目につくようなってきますので、水切りなどの対策をされることをお勧めしています。

(写真2)台座部からの汚れ
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